高校数学

三角形のベクトルの存在範囲:大学受験生が知っておくべき3つのポイント

mathjax

生徒

先生!平面ベクトルで出てくる\(s+t=1\)を使った存在範囲がわかりません!

歩兵

三角形の内分を利用する部分だね、、よく入試にも出るからしっかり抑えよう!!

目次

そもそも三角形のベクトルの存在範囲とは?

ベクトルの存在範囲にはどういった問題があるのか

理屈で説明してもわかりずらいので、実際に問題を見てましょう!

例題

$$\overrightarrow{AP}=s\overrightarrow{AB}+t\overrightarrow{AC}$$

\(s+t=1\), \({s}\geq{0}\), \({t}\geq{0}\)

このとき、点Pの存在範囲を答えなさい

この段階では、まだ何を言っているのかわかりませんね

ベクトルの復習

存在範囲を考える前に、ベクトルの内分の話を復習しましょう

ベクトルの内分

\(\triangle\)ABCにおいて、辺BCをs:tに内分する点をPとすると、

$$\overrightarrow{AP}=\frac{t\overrightarrow{AB}+s\overrightarrow{AC}}{s+t}$$

ちなみに、外分の場合はこちらになります。意外と出てくるので外分の定義と合わせて覚えておきましょう。

ベクトルの外分

\(\triangle\)ABCにおいて、辺BCをs:tに内分する点をPとすると、

$$\overrightarrow{AP}=\frac{-t\overrightarrow{AB}+s\overrightarrow{AC}}{s-t}$$

三角形のベクトルの存在範囲:考え方

例題

$$\overrightarrow{AP}=s\overrightarrow{AB}+t\overrightarrow{AC}$$

\(s+t=1\), \({s}\geq{0}\), \({t}\geq{0}\)

このとき、点Pの存在範囲を答えなさい

ベクトルの存在範囲:式で考える

\(s+t=1\)より、

$$\overrightarrow{AP}=s\overrightarrow{AB}+t\overrightarrow{AC}=\frac{s\overrightarrow{AB}+t\overrightarrow{AC}}{t+s}$$

よって、点Pは辺BCをt:sに内分する点。ここで、s,tは和を1に保ちながら0から1の任意の実数を動くので、点Pの存在範囲は線分BC

三角形のベクトルの存在範囲:内部に存在

ベクトルの存在範囲:内部に存在

例題

$$\overrightarrow{AP}=s\overrightarrow{AB}+t\overrightarrow{AC}$$

\({0}\leq{s+t}\leq{1}\), \({s}\geq{0}\), \({t}\geq{0}\)

このとき、点Pの存在範囲を答えなさい

ベクトルの存在範囲:式で考える

\(s+t=0\)のとき、\(s=0\),\(t=0\)から\(\overrightarrow{AP}=\overrightarrow{0}\)。この時、点Aと点Pは一致

上記以外のとき、\(k(s+t)=1\)となるkを取り、\(s'=ks, t'=kt\)とすると、

$$\overrightarrow{AP}=\frac{1}{k(s'\overrightarrow{AB}+t'\overrightarrow{AC})}$$

ここで、\(s'+t'=1\)より、\(s'\overrightarrow{AB}+t'\overrightarrow{AC}=\overrightarrow{AP'}\)とすると、点P’は線分BC上を動く

次に、kは1以上の全ての実数を取るので、点Pは結果的に\(\triangle\)ABCの周及び内部を動く

歩兵

もう1問応用問題を見ていこう!!

三角形のベクトルの存在範囲:変則的係数

例題

$$\overrightarrow{AP}=3s\overrightarrow{AB}+2t\overrightarrow{AC}$$

\(s+t=1\), \({s}\geq{0}\), \({t}\geq{0}\)

このとき、点Pの存在範囲を答えなさい

三角形のベクトルの存在範囲:変則的係数

\(\overrightarrow{AB'}=3\overrightarrow{AB}\), \(\overrightarrow{AC'}=2\overrightarrow{AC}\)となるようなB',C'を取ると、

$$\overrightarrow{AP}=s\overrightarrow{AB'}+t\overrightarrow{AC'}$$

ここで、\(s+t=1\), \({s}\geq{0}\), \({t}\geq{0}\)より、点Pの存在範囲は、線分B’C’

  • この記事を書いた人

歩兵

京大医学部現役生。地方の公立高校から合格。受験期の自らの体験をもとに「再現性がありかつ成績が伸びる勉強法」を発信している。

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