
先生!tanを使った媒介変数の問題がわかりません!!!

あ~半角の公式を利用した解き方だね、
でも媒介変数を使えば、最小値とかも求めやすくなるし色々便利だよ!
プロフィール

・地方の公立進学校から高校3年間塾に通わず、1浪を経て京大医学部に合格。(歩兵について詳しくはこちら)
・塾や家庭教師における指導数は10を超え、医学部や国公立合格を多数輩出。
・現役医学生ながら「本質的な学び」や「誰にでも再現可能な勉強法」についてブログで発信中。
目次
1. tan媒介変数と三角関数
初めに概念的な話になるので、具体的な問題を見たい方は飛ばしてもらって構いません
tan媒介変数とは何か
tan媒介変数とは、三角関数をより簡単に扱うための数学的なテクニックです。具体的には、sin、cosなどの三角関数が混じった式の最小値を求めるのに非常に役立ちます。通常、三角関数は3種類あり、非常に扱いづらいです。
このtan媒介変数の強みは、いかなる式でも最小値を求めることができるということです。これは非常に重要なことです。そのためには、tanはsin,cosと違って全ての実数値をとるということを利用します。
結局どういうこと?
恐らく先ほどの説明だけでは、よく分からない方も多いでしょう。そのために、今回用いる例題を提示します。
例題
\(f(x)=(sinx)(cosx+1)((tan(\frac{x}{2}))^2+1)\)(\({0}\lt{x}\lt{π}\))の最大値を求めよ
このような複雑な問題でも媒介変数を用いれば簡単に解けてしまうのです。

媒介変数を使えば、シンプルに求めることができるんですね
2. tan媒介変数を使った三角関数の変換
tanの媒介変数考え方
上の問題ですが、sinx,cosxが混じっていてなんか気持ち悪いですよね。\((sinx)^2+(cosx)^2=1\)を用いて変形しても解けますが、√が入り複雑な計算になります。また、微分を用いるので数3を使わないと解くことができません。
ここで、sinx、cosxを何か別のものに置き換えるとうまく計算できます。
公式の導入
ここで、2倍角の公式を導入します。(t=tan(\frac{x}{2}))とする
2倍角の公式
$$tanx=\frac{2\tan(\frac{x}{2})}{1-(tan(\frac{x}{2}))^2}=\frac{2t}{1-t^2}$$
$$cosx=2(cos(\frac{x}{2}))^2-1=\frac{2}{1+(tan(\frac{x}{2}))^2}-1=\frac{1-(tan(\frac{x}{2}))^2}{1+(tan(\frac{x}{2})^2)^2}=\frac{1-t^2}{1+t^2}$$
$$sinx={tanx}\times{cosx}={\frac{2t}{1-t^2}}\times{\frac{1-t^2}{1+t^2}}=\frac{2t}{1+t^2}$$

この公式は、ある程度覚えておくといいですよ
3. tan媒介変数:実際の考え方
例題
\(f(x)=(sinx)(cosx+1)((tan(\frac{x}{2}))^2+1)\)(\({0}\lt{x}\lt{π}\))の最大値を求めよ
\(sinx\),\(cosx\)を\(tan(\frac{x}{2})\)(=t)でおく
初めに範囲の確認です。\({0}\lt{x}\lt{π}\)であることから、\({0}\lt{\frac{x}{2}}\lt{\frac{π}{2}}\)すなわちtは正の実数全てを動きます。
実際にf(x)を計算
$$f(x)=(\frac{2t}{1+t^2})(\frac{1-t^2}{1+t^2}+1)(t^2+1)=(\frac{2t}{1+t^2})(\frac{2}{t^2+1})(t^2+1)=\frac{4t}{1+t^2}$$
最大値を求める
上の形のままでは直接最大値を求めることはできません。\({t}\gt{0}\)より、分母分子をそれぞれtで割ると、
$$f(x)=\frac{4}{t+\frac{1}{t}}$$
これは相加相乗の形です。しかも、\({t}\gt{0}\)、\({\frac{1}{t}}\gt{0}\)という条件も揃っています。\(t+\frac{1}{t}\)が最小のとき、f(x)は最大になります。
相加相乗について分からないことがあれば、次の記事を確認ください。
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【完全解説】高校数学の相加相乗:公式、証明、使い方まで分かりやすく解説!
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tan媒介変数:実際の解答
例題
\(f(x)=(sinx)(cosx+1)((tan(\frac{x}{2}))^2+1)\)(\({0}\lt{x}\lt{π}\))の最大値を求めよ
解答
\(sinx\),\(cosx\)を\(tan(\frac{x}{2})\)(=t)でおくと、
$$f(x)=(\frac{2t}{1+t^2})(\frac{1-t^2}{1+t^2}+1)(t^2+1)=(\frac{2t}{1+t^2})(\frac{2}{t^2+1})(t^2+1)=\frac{4t}{1+t^2}$$
\({0}\lt{x}\lt{π}\)であることから、\({0}\lt{\frac{x}{2}}\lt{\frac{π}{2}}\)。よって、\({t}\gt{0}\)。
故に、$$f(x)=\frac{4}{t+\frac{1}{t}}$$
ここで、\({t}\gt{0}\)、\({\frac{1}{t}}\gt{0}\)で、相加平均と相乗平均の大小関係から、
\({t+\frac{1}{t}}\geq{2}\)。ただし、等号が成り立つのは、\(t=\frac{1}{t}\)すなわち\(t=1\)のとき
このとき、\(t+\frac{1}{t}\)が最小より、f(x)は最大。
\(t=1\)のとき、\(tan(\frac{x}{2})=1\)。\({0}\lt{\frac{x}{2}}\lt{\frac{π}{2}}\)から、\(x=\frac{π}{2}\)
よって、最大値は\(\frac{4}{2}=2\)。

相加相乗を組み合わせるとうまく解けるね!
tan媒介変数:まとめ
今回はtanを使った媒介変数について解説しました。いかがでしたか?
ポイント
・sin,cos,tanを全て\(tan(\frac{x}{2})\)に変換
・範囲を確認して、最大値、最小値を求める
tanの媒介変数は、数2では勿論、数Ⅲでも扱います。この記事を見て、確実にマスターするようにしましょう!
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