高校化学

オストワルト法の仕組みや反応式をわかりやすく解説

歩兵

オストワルト法について詳しく知りたい

オストワルト法の反応式が書けない

今回はこのような悩みを解決します。

オストワルト法は接触法と並び、マーク試験で頻出です。今回の記事で知識を完璧なものにしてください。

プロフィール

歩兵

・地方公立から京大医学部合格した現役医大生

・「誰でも成績が上がる」勉強法を発信

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目次

オストワルト法とは硝酸の工業的製法である

まずオストワルト法とは何かを説明します。

オストワルト法とは、硝酸の工業的製法になります。

工業的製法とはどういうことかというと、「できるだけ安い費用でつくる方法」だと考えてもらえばよいと思います。

したがって、工業的製法というのはややこしい手順を踏むことが多く、オストワルト法も例外ではありません。

でも丁寧に説明していきますので、安心してついてきてください。

オストワルト法の反応式

まずはオストワルト法の反応式を見てみましょう。

オストワルト法

1 4NH3 + 5O2 → 4NO + 6H2O

2 2NO +O2 → 2NO2

3 3NO2 + H2O → 2HNO3 + NO

まずはアンモニアを酸化することで一酸化窒素を作り出します。

そして一酸化窒素をさらに酸化して二酸化窒素とし、水に通すことで硝酸が得られます。

なお、3つ目の式では硝酸の他に一酸化窒素も生成されますが、これは再び2番目の式で再利用されます。無駄のない反応になっていますね。

アンモニア、一酸化窒素、二酸化窒素の発生法についてはこちらで復習しておきましょう。

反応式を1つの式にまとめる方法

ここで、先ほどの3つの反応式を1つにまとめる方法をご紹介します。

やみくもにまとめようとすると沼にはまってしまうので、しっかりと手順を覚えておきましょう。

反応式のまとめ方

  1. NO2を消去する
  2. NOを消去する

全体としてはオストワルト法は硝酸を得る反応です。生成物にNOやNO2が含まれることはありません。

したがって、NO2とNOを消去することでうまく反応式がまとめられます。

1.NO2を消去する

まずはNO2を消去します。

オストワルト法

1 4NH3 + 5O2 → 4NO + 6H2O

2 2NO +O2 → 2NO2

3 3NO2 + H2O → 2HNO3 + NO

NO2が含まれるのは2,3番目の式なので「2番目の式×3+3番目の式×2」をすることで次の式が得られます。

4NO + 3O2 + 2H2O → 4HNO3

2.NOを消去する

続いてNOを消去します。

先ほどの式に1番目の式を足してあげることで次の式が得られます。

NH3 + 2O2 → HNO3 + H2O

これがすべての式をまとめたものになります。

オストワルト法の触媒

オストワルト法では触媒が使われます。

接触法の触媒と混同しがちであるため、よくマーク試験で問われるので覚えておきましょう。

オストワルト法の触媒

オストワルト法では、次の反応で触媒として白金(Pt)が使われる。

1 4NH3 + 5O2 → 4NO + 6H2O

ちなみに接触法で使われる触媒は酸化バナジウム(V2O5)です。

オストワルト法のよくある計算問題の解き方

では最後にオストワルト法の計算問題を解いてみましょう。

ポイントさえ押さえれば何も難しいことはありません。

問題

アンモニアが10molある。このアンモニアがすべて反応するとして、質量パーセント濃度63%の硝酸は何g作ることができるか。

まずはオストワルト法の反応全体をまとめた式を作ります。

NH3 + 2O2 → HNO3 + H2O

ここからわかることは、アンモニア1molから硝酸1molが得られるということです。

ポイント

オストワルト法では、アンモニア1molにつき硝酸が1mol得られる。

したがって、今回の問題では硝酸は10mol得られることになりますね。

そして硝酸の式量は63ですから、硝酸は63×10=630(g)生成することがわかります。

あとはこれを63%に薄めたらどうなるかを考えます。仮に63%の硝酸がx(g)できるとすると、xのうち63%がオストワルト法でつくられた硝酸になるので、

x×63/100=630

が成り立ちます。あとはこれを解くと、x=1000(g)と答えが出ますね。

まとめ

今回はオストワルト法について解説しました。

反応式・触媒・計算の3点が問題になるところなので、よく理解しておきましょう。

  • この記事を書いた人

歩兵

京大医学部現役生。地方の公立高校から合格。受験期の自らの体験をもとに「再現性がありかつ成績が伸びる勉強法」を発信している。

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