プロフィール

・地方の公立進学校から高校3年間塾に通わず、1浪を経て京大医学部に合格。(歩兵について詳しくはこちら)
・塾や家庭教師における指導数は10を超え、医学部や国公立合格を多数輩出。
・現役医学生ながら「本質的な学び」や「誰にでも再現可能な勉強法」についてブログで発信中。
受験生の皆さんは、定期的に模試を受けていると思います。特に受験が近づくにつれ、その数と頻度は増えていきます。そんな皆さんにお聞きします。
「模試をフル活用できていますか」
せっかく模試を受けても上手に活用できなければ、模試にかかる代金がもったいないですよね。
というか、そもそも模試の役割がよくわかっていないという人も多いのではないでしょうか。
そこで今回は主に模試をフル活用する方法について書いていきたいと思います。
学校側に言われるがままにただ漫然と模試を受ける状態から脱却し、模試を使って成長できるようになりましょう。
目次
模試を受験することのメリット
模試というのはうまく活用することで非常に有用な教材となり得ますが、そもそも模試を受けること自体にも多くのメリットがあります。そこでまずは模試を受験するメリットについて軽く触れておきます。
模試を受験することのメリットは一言でいえば本番を想定した予行演習になるということです。ここからはそのメリットについて具体的に3つ見ていきます。
本番の緊張感に慣れる
模試といえども、教室の全員が同時に解答している時というのは独特の緊張感が漂うものです。そしてその緊張感は受験本番に近いものがあります。
この緊張感というのは非常に厄介で、我々の平常心をかき乱し、本来の実力を発揮することを妨げてきます。なぜなら張り詰めた空気の中にいると我々はいつもよりも神経質になってしまうからです。
模試を受けている時は、なぜか急に他の人の鉛筆の音が気になったり、後ろの人の貧乏ゆすりが止まらないことにイライラしたりしてしまうのです。
本番にこのような状況に陥ったら、問題を解くどころではありません。だからこそ、独特の緊張感に慣れるための練習として、模試というのは受験する価値があると言えるのです。
様々な戦略が試せる
ここでいう戦略とは、時間内に自分の得点を最大化する方法です。
受験に合格するには、問題の取捨選択が非常に重要です。というのも、そもそも試験問題はすべてが時間内に解けるように作られていないからです。
もしも最初の問題から順番に解くという方針をとっていたら、最後の大問にある、全員がとるべき問題を見落としてしまうかもしれません。
だからこそ、戦略を考える必要があるのです。基本的には解けそうな問題から解くことになるとは思いますが、例えば10分以上は粘らないなど、細かい戦略は個人ごとに変わってくるはずです。
しかし、その戦略をいきなり本番で試すのは怖いですよね。失敗は不合格を意味します。そこで、戦略を試す機会、すなわち模試を受けることが非常に重要になってきます。
失敗しても構いません。いろいろと試し、本番までに最も得点がとりやすい戦略を確立しましょう。

形式に慣れる
模試は大きく分けると記述模試とマーク模試があります。
その中で特に形式に慣れる必要があるのはマーク形式の問題です。というのも、マーク形式は形式慣れしておかないと実力通りの点数が取れないからです。
マーク模試というのは解答の過程が見られないので、部分点がありません、そのため、正確に答えを出す必要が記述の場合よりも求められます。そのうえ、問題数が非常に多いので、とにかく「速く正確に解く」練習が必要になってくるのです。また、特に数学ではマーク形式特有の誘導に乗れないと点数を稼ぐのが難しくなっています。
それだけならよいのですが、マーク形式にはさらに恐ろしい落とし穴があります。それがマークミスと解く問題を間違えることです。
マークミス。聞いただけで恐ろしいですね。14番の答えを塗ろうとしたらすでに1番に塗られている…。本番にこんなことが起きたら大パニックです。マーク模試を受けることで、ズレずにマークをする練習をしておきましょう。
解く問題を間違える。これは数学にあるケースです。というのも、数学では「数Ⅰ」と「数ⅠA」という2種類の問題が同じ問題冊子に入っているのです。「問題冊子の始めから解く」なんてやってると気が付いたら全く関係ない問題を解いていたということになりかねません。
実際に歩兵は現役時代のセンター試験本番でやらかしました。いつもと違うなと思ったら「数Ⅰ」を間違って解いていたのです。幸いまだ試験開始20分後に気が付いたので修正ができましたが、すべて解き終わってからでは手遅れになります。皆さんは歩兵と同じ轍を踏まないように…。
また、東大模試などの大学別の模試も一種の形式慣れの手段といえるでしょう。というのも、志望校の過去問の形式に慣れることは点数をとるうえで非常に有利だからです。「文法問題が3割出る」や「長文の問題しか出ない」など、問題の特徴によって今後の勉強方針も変わってきます。
ここまでは模試を受けるメリットについて書きましたが、はっきり言って、受験することは誰にでもできますよね。そのため、模試を受けるだけでは全く周りと差がつかないのでほとんど意味がありません。
そこで次からは周りと差をつけるために、どのように模試を活用するかについて書いていきたいと思います。
模試の効果的活用法1 復習につなげる
模試というのは全国の受験生が受験するという性質があるため、なんだか特別なもののように感じますよね。
しかし、本質的にはやっていることはただ問題演習をしていることとさほど変わりはありません。ただ一日中アウトプットし続けているというだけです。
模試=アウトプットと考えるのであれば、やらなければならないことは必然的に見えてきますね。
インプット、すなわち復習ですね。なぜこのように考えるべきかは下の記事を参考にしてください。
したがって、まず模試を受けたら最優先にするべきことは間違ったところを確認して知識を補強することです。逆に、丸一日も問題演習に費やしたのにその復習をしなければ、何も身につかない、つまり時間が無駄になってしまいますよね。
そのうえ、模試の良い点は問題の出題範囲が広いということです。基本的に問題集を解く際は解く問題の分野が偏ってしまいますが、模試ではどの範囲の問題もまんべんなく解くことができます。そのため、思いがけず知識が抜けている分野がわかったりするので模試は非常に復習の価値があると言えます。

なお、模試を復習する際の注意点は次のようになります。
まずは、相当の難問でもない限りは再度その問題を解いたら100点をとれるくらいまで徹底的に復習しましょう。そこまでやって初めて、自分が間違った問題を克服できたと言えます。模試の復習を習慣化するのも一つの手だと思います。
そして、模試の復習は1週間以内に行いましょう。理由は簡単です。時間が空いたら問題自体を忘れてしまっているので、復習効率が悪すぎるからです。問題を見て、どのように答えたかを思い出すのに余計な時間がかかってしまいます。
もちろん模試当日に復習できれば最もよいですが、一日中アウトプットを続けているので疲れている人がほとんどだと思います。集中力がない状態で勉強するくらいなら、思い切って休んで次の日から復習に手を付けましょう。
実際歩兵も模試当日は疲れ果ててあまり勉強できませんでした。疲れ果てているのに課題や次の日の授業の予習が終わっていないこともしばしば。模試の次の日くらい休ませてほしいですよね…。
「模試の復習はあとでやる」は危険です。そう考える人はきっと手つかずの模試が机にどんどん山積みになっていくでしょう。すでに山積みになっているのならそれらは捨てましょう、今からやっても意味がありませんし、今後もおそらくやりません。
模試の効果的活用法2 データを分析する
模試を受けると、約一か月後に結果が送られてきます。まさか判定だけ見てあとはほったらかしにしたりしていませんか。
模試は受験するだけでもメリットがあると書きましたが、問題を解くだけなら自分でもできますよね。お金をわざわざ払う必要がありません。
では、なぜお金を払っているのでしょうか。それは、判定を含め、模試の結果を分析してもらうことに対してではないでしょうか。
全国の受験生からデータを集めて分析する。こんなことは一個人には到底できることではありませんよね。そのうえ、模試の主催者側は受験者一人一人の得点についても分析してくれています。せっかく時間をかけて得られたデータなのですから、使わないともったいないと思いませんか。
志望校判定。これは誰もが気になるデータです。判定が良いだけで勉強のモチベーションが上がりますよね。しかし、逆にE判定が出ると自信がなくなってしまうのも事実。
結論から言うと、よく言われていることですが、志望校判定は気にしないようにしましょう。毎回の判定に一喜一憂していては振り回されるだけです。あくまでも自分の勉強のモチベーション維持につなげるための指標くらいに思っておきましょう。
たとえA判定が出ても、それは合格を保障してくれません。そういう意味では、どの判定でもあまり変わらないです。それにその時点での判定は今からの皆さんの成長を織り込んでいません。正しいやり方でコツコツと勉強すれば、どの判定からでも合格することは可能です。

模試の結果で重要な要素というのは、弱点の把握するためのデータです。ここでいう弱点とはマクロの視点での弱点です。つまり、「この科目が苦手」だったり、「この分野が苦手」といったように大きくとらえたときの自分の弱みをデータから読み取るのです。
なお、ミクロな視点での弱点、すなわち「この問題ができない」や「この知識がなかった」というのは模試の復習の段階で見つけ、克服するものであり、結果が来てから把握するのでは遅いです。
まずは科目ごとの偏差値を見てみましょう。理想は科目ごとの偏差値がだいたい同じであるという状態ですが、なかなかうまくはいきませんよね。極端に偏差値の低い科目はありませんか。もしあるのであればその科目はあなたの苦手科目ということになります。
一般的には、同じ時間をかけるのなら得意科目よりも苦手科目にかけた方が最終的な総合点は上がります。なぜなら苦手科目のほうが伸びしろが大きいからです。苦手科目がわかったら、今後の科目間の勉強バランスを見直してみてくださ。
そして今度は各科目の中で、分野ごとの得点率を見てみましょう。極端にとれていないところがあるすれば、そこがあなたの弱点分野ということになります。その科目を勉強する際はその分野を中心に勉強するのが最も効率的だということですね。
客観的なデータからは意外な結果も得られます。自分ではできていると思っていてもほかの人と比較したら全くダメだったということもざらにあります。しっかりとデータからわかった事実を受けとめて自分の勉強計画に生かしてください。
なお、データを見る注意点ですが、一つのの模試の結果だけで弱点だと判断するのは早計です。しっかりと複数の結果を見比べてください。たまたまできてしまったり、できなかったりということは誰にでもあるはずです。本当の自分の弱点を把握できるようにしましょう。
まとめ
少し長くなりましたが、模試の活用法についてよく理解していただけたでしょうか。
最後にもう一度内容をまとめておきます。
模試を受けること自体に本番の予行演習ができるというメリットがありますが、模試を受けることは誰にでもできるので、それだけでは差がつきません。
そこで模試の活用法が大切になってくるのですが、その方法は主に2つあります。1つ目は間違った問題を復習することで知識を補完するという活用法。そして2つ目はデータを分析して弱点を把握し、今後の勉強計画に生かすというやり方です。
以上のことを意識して模試に臨めばきっと周りに差をつけることができるので、ぜひ模試を受ける際は今回の内容を思い出してください。
最後まで読んでいただきありがとうございました。質問等ありましたらコメントをお願いします。
また、内容が良かったと思っていただけたらSNS等での拡散もよろしくお願いします。
ではまた(^^)/