
・銅の電解精錬の仕組みがよくわからない
・陽極泥って何なの
今回はこのような悩みを解決します。
銅の電解精錬についてはこの記事ですべてわかるようにしてあるのでぜひ参考にしてください。
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目次
銅の電解精錬とは~電気分解の応用~
まずは銅の電解精錬の概要を説明したいと思います。
名前にある通り、銅の電解精錬の目的は電気分解によって銅を精錬すること、すなわち銅の純度を高めることになります。
純銅と粗銅を使い、粗銅から銅だけを取り出して純銅を生成します。
ポイント
銅の電解精錬とは、電気分解によって銅の純度を高める反応である
実際の電気分解の様子は次の図のようになります。

図を見るとわかる通り、陽極も陰極も銅が使われています。そして水溶液として硫酸銅が使用されます。
したがって、各極で起こる反応は次のようになりますね。
銅の電解精錬で起こる反応
陽極 Cu → Cu2+ + 2e-
陰極 Cu2+ + 2e- → Cu
陽極では銅が溶け、陰極では銅が析出していることがわかります。
なお、この陽極と陰極で起こる反応がすぐに思い浮かばなかった人はそもそも電気分解の問題が解けない可能性があるので、こちらの記事で復習しておきましょう。
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さて、問題はここからです。陽極と陰極、どちらが純銅でどちらが粗銅になるでしょうか。ぜひ1度考えてみてください。
正解は陽極に粗銅、陰極に純銅を使います。
このようにすることで粗銅から銅が溶解し、水溶液中の銅イオンが析出して純銅につくため、純銅を得ることができます。
ポイント
銅の電解精錬では、陽極に粗銅、陰極に純銅を用いる
陽極(粗銅)の反応について
先ほどの章では陽極に粗銅を使い、粗銅が溶解する反応が起こると説明しました。
しかし、これは厳密には正しくありません。なぜなら名前の通り、粗銅には銅以外の金属も含まれているからです。
実際に粗銅を構成している金属は銅の他に亜鉛や鉛、そして金や銀などが含まれています。
ポイント
粗銅には銅の他に亜鉛や鉄、金銀が含まれている
では実際、これらの金属がどのように反応するのでしょうか。
電気分解の説明をした際に陽極では電子を放出しやすいものが反応するため、金属であればAu、Ptを除いて反応すると述べました。したがって、粗銅に含まれる銅以外の金属もすべて反応し得るのです。
だからといって同時に様々な金属が反応するなんてことはありません。反応する順番があります。
イオンになりやすいものから反応するのですから、イオン化傾向の大きい金属順に反応することになるわけですね。
具体的な順序は次の通りです。
陽極の金属の反応順
亜鉛 → 鉛 → 銅
陽極泥について~鉛が含まれることに注意~
さて、勘のいい方はここでお気づきかと思いますが、銀と金が反応の順番に入っていません。
どういうことかというと、銀と金が反応する番が回ってこないということです。粗銅と言えど9割以上は銅でできています。したがって、銅が反応してすべてなくなるという状況はあり得ません。
そのため、電気分解を始めてしばらく経つと陽極では銅がずっと反応し続けることになります。
ポイント
銅の電解精錬の陽極において、最終的には銅が反応し続ける
したがって、粗銅に含まれる金や銀は反応しない
では、溶解しない銀と金はどうなるでしょうか。これらは粗銅からぽろぽろと取れて下に沈んでいきます。
その結果、陽極の下に沈殿が形成されます。これがいわゆる陽極泥ですね。

ただしここでもう一つ重要なことがあります。それは鉛も陽極泥に入るということです。
鉛はいったんは確かにイオンとして溶解するのですが、硫酸イオンが存在する場合沈殿を形成してしまいます。
したがって、実際には水溶液中に鉛イオンが存在することはなく、硫酸鉛として陽極泥に含まれているのです。
ポイント
陽極泥には金や銀の他に鉛も含まれる
これは、鉛が水溶液中で難溶性の硫酸鉛を形成することによる
まとめ
今回は銅の電解精錬について解説しました。内容は次の通りです。
今回のまとめ
- 陽極に粗銅、陰極に純銅を使う
- 陽極では銅が溶解し、陰極では銅が析出する
- 粗銅に含まれる金属はイオン化傾向の大きい順に反応する
- 銅よりイオン化傾向が小さい金属は陽極泥と呼ばれる沈殿を形成する(硫酸鉛も含まれることに注意)
これらのポイントを押さえておけば、あとは計算問題が解ければ完答できると思います。
何度も繰り返し読み、銅の電解精錬について完全理解してください。