高校化学

過マンガン酸カリウム滴定をわかりやすく解説

歩兵

過マンガン酸カリウム滴定の計算がよくわからない

今回はこの悩みを解決します。

最後まで読んで、試験でも頻出な過マンガン酸カリウム滴定をしっかり攻略してしまいましょう。

目次

過マンガン酸カリウム滴定の簡単な解き方とは

早速ですが、過マンガン酸カリウム滴定の計算方法をお教えします。

それは次の2ステップになります。

計算手順

  1. 反応式を作る
  2. 『酸化剤が受け取る電子の物量』=『還元剤が放出する電子の物質量』で立式

この2ステップを覚えておけば、滴定問題に出会っても迷うことなく解くことができます。

なお、酸化剤・還元剤とは何かよくわからない方はこちらで復習しておきましょう。

ではここからは具体的にどのように解くのかを解説していきます。

次の問題について一緒に考えていきましょう。

問題

濃度3.0×10-2(mol/L)の(COOH)2水溶液がある。そこから20ml取り出してビーカーに移した。ここに濃度不明の過マンガン酸カリウム水溶液を加えたところ、ちょうど15ml加えたところで終点に達した。この過マンガン酸カリウム水溶液の濃度を求めよ。

酸化還元滴定の解法ステップ1 反応式を作る

ではまずは酸化還元反応の反応式を完成させましょう。

酸化還元の反応式を作る際は半反応式から作るのが鉄則でしたね。

ポイント

酸化還元の反応式は半反応式から作る

それぞれの半反応式は次のようになります。

MnO4- + 8H+ + 5e- → Mn2+ + 4H2O

(COOH)2 → 2CO2 + 2H+ 2e-

電子の数が釣り合うようにして両辺を加えると、

5(COOH)2 → 2MnO4- + 6H+ → 2Mn2+ + 10CO2 + 8H2O

これで完成と思いきや、もう1ステップ必要ですね。化学反応式ではイオンのままで書くことは許されません。

ポイント

化学反応式にはイオンを含めることができない

両辺にK+とSO42-を加えてイオン状態を解消します。

5(COOH)2 + 2KMnO4 + 3H2SO4 → 2MnSO4 + 10CO2 + 8H2O + K2SO4

これで完成ですね。

酸化還元滴定の解法ステップ2 立式

反応式が完成したので、あとは立式して計算します。

酸化還元滴定の立式は酸化剤と還元剤でやり取りされる電子の物質量に注目するとうまくいきます。

酸化還元は電子のやり取りですから、還元剤から出た電子は必ず全て酸化剤が受け取ることになります。

したがって、電子の物質量に注目することで毎回容易に立式できるのです。

ポイント

酸化還元反応の計算は『酸化剤が受け取るe-』=『還元剤が放出するe-』に注目する

酸化剤が受け取る電子の物質量は、過マンガン酸カリウムの濃度をx(mol/L)とすると、過マンガン酸カリウム1molにつき5molの電子が反応することに注意して

x(mol/L)×15×10-3(L)×5=75x×10-3(mol) …①

一方還元剤が放出する電子の物質量は、1molのシュウ酸につき2molの電子が反応するので

3.0×10-2(mol/L)×20×10-3(L)×2=1.2×10-4(mol) …②

①と②が一致することから、

x=1.6×10-2(mol/L)

このように求められます。

まとめ

今回は過マンガン酸カリウム滴定の解き方について解説しました。

酸化還元反応の問題のうち、過マンガン酸カリウム滴定は多くを占めています。

今回の内容をしっかりと理解して、化学の得点を伸ばしてくださいね~

  • この記事を書いた人

歩兵

京大医学部現役生。地方の公立高校から合格。受験期の自らの体験をもとに「再現性がありかつ成績が伸びる勉強法」を発信している。

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