高校化学

弱酸(弱塩基)のpHの求め方【公式を覚えれば10秒で解ける!?】

弱酸のpH

弱酸(弱塩基)のpHの求め方がわからない

この悩みは化学を学習する人が必ず一度は抱えるものです。

そして多くの人は求め方がわからないまま諦めます。

しかし歩兵から言わせれば、それは非常にもったいないです。

なぜなら、公式を覚えるだけで弱酸のpHなんて一瞬で解けるからです。

本編を読み終える頃には、もう苦手意識はなくなっていることでしょう。

プロフィール

歩兵

・地方公立から京大医学部合格した現役医大生

・「誰でも成績が上がる」勉強法を発信

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目次

弱酸(弱塩基)のpHの求め方

弱酸と弱塩基のpHの求め方は本質的には同じであるため、ここからは弱酸にしぼって説明していきます。

早速ですが、弱酸のpHの求め方をご紹介しましょう。

はっきり言って、これさえ覚えておけばあとは代入するだけです。

それでは実際の問題を通して公式の使い方を見ていきましょう。

実際に弱酸(弱塩基)のpHを求めてみよう

問題

5.0×10-1(mol/L)の酢酸のpHを求めよ。 ただし、電離定数はKa=1.8×10-5とする。 必要であればlog103=0.48を用いよ。

今までの皆さんであればこの問題を見て何をしたらよいかわからなかったかもしれませんね。

でもやることは1つ。代入するだけです。

解答

弱酸より、

[\(H^{+}\)]=\(\sqrt{CKa}\)=\(\sqrt{5.0×10^{-1}×1.8×10^{-5}} \)=\(3.0×10^{-3}\)

したがって求めるpHは、

pH=\(-log_{10}(3.0×10^{-3})=3-log_{10}3=2.52 \)

いかがですか。

弱酸のpHはこんなにも簡単に求められるのです。

弱酸(弱塩基)のpHの公式の導出

ここからは弱酸のpHの公式がどのように導かれたのかについて解説します。

pHを求めるだけであれば公式を暗記するだけで十分なのですが、実は弱酸のpHの公式の導出過程はよく問題としても出題されます。

したがって、公式の導出方法についても理解しておくことを強く勧めます。

公式を導く手順は以下の通りです。

  1. 物質収支を考える
  2. 電離定数への代入
  3. αによる近似
  4. \([H^{+}]\)およびpHを求める

弱酸(弱塩基)のpHの公式導出1 物質収支を考える

まず初めに、電離式から物質収支を考えます

今回は弱酸の例として酢酸を用いて説明していきたいと思います。

ただし、酢酸の濃度はC(mol/L)、電離度はα、電離定数はKaとします。

この条件のもとで物質収支は次のようになります。

電離度αというのは酢酸のうちどれくらいの割合が電離するかを表しています。

したがって、実際に電離する酢酸はCαで表すことができますね。

そして係数比が1:1なので酢酸イオンおよび水素イオンもCαずつ生成されることになります。

これを表したのが上の図です。

弱酸(弱塩基)のpHの公式導出2 電離定数への代入

酢酸には電離定数が定められています。

そしてその定義は次のようになります。

Ka=\(\frac{[CH_{3}COOH][H^{+}]}{[CH_{3}COOH]}\)

電離定数というのは温度が変わらなければ一定であるため、酢酸が電離した後はこの式に従うことになります。

ではこの電離定数に先ほどの値を代入してみましょう。

\(Ka=\frac{Cα・Cα}{(1-α)C}=\frac{Cα^{2}}{1-α}\)

したがって、この式を使ってpHを求めることになります。

弱酸(弱塩基)のpHの公式導出3 αによる近似

先ほど次の式が成り立つことがわかりました。

Ka=\(\frac{Cα^{2}}{1-α}\)

本来であればこの式をαについての2次方程式とみなし、αを求める必要があります。

しかし、解の公式を使う必要があり非常に計算が大変です。

そこで登場するのが近似です。弱酸のpHにおける近似の考え方は次のようになっています。

弱酸のpHにおける近似

電離度αが0.05よりも小さい場合、1-α→1として近似してよい。

酢酸を含め弱酸というのは基本的に電離度は0.05よりも小さくなります。

したがって、近似を適用することができるので先ほどの式は次のようになります。

\(Kα=Cα^{2}\)

これも先ほど同様αについての2次方程式ですが、簡単に解くことができますね。αについて解くと次のようになります。

\(α=\sqrt{\frac{Ka}{C}}\)

弱酸(弱塩基)のpHの公式導出4  \([H^{+}]\)およびpHを求める

では最後に \([H^{+}]\)およびpHを求めましょう。

ここで、物質収支の図を再掲します。

この図から、 \([H^{+}]\) はCαであることがわかりますね。したがって、先ほど求めたαを用いることで水素イオン濃度が求まります。

\([H^{+}]=Cα= C\sqrt{\frac{Ka}{C}}= \sqrt{CKa}\)

これより、弱酸のpHは次のようになります。

\(pH=-log_{10} [H^{+}]=-log_{10}\sqrt{CKa}\)

まとめ

今回は弱酸のpHの公式、およびその公式の導出方法について説明しました。

まずは公式を覚えてpHを正確に素早く出せるようにしましょう。

その後、自分でも公式を導けるように何度か導出法についても確認してください。

なお、pHと言えば弱酸だけではなく強酸のpHや緩衝液のpHの求め方も必須です。他のpH計算方法についてはこちらをご覧ください。

  • この記事を書いた人

歩兵

京大医学部現役生。地方の公立高校から合格。受験期の自らの体験をもとに「再現性がありかつ成績が伸びる勉強法」を発信している。

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